PRPとは、Platelet-Rich-Plasm(多血小板血漿)を略した名称です。血液を遠心分離機にかけた後の血小板を多く含む血漿層のことです。
血小板は血管が損傷した場所に集まって止血過程で重要な役割を果たしますが、その際に多量の成長因子を放出します。この成長因子は組織修復を促進する力があります。PRP治療は血小板に含まれる成長因子の力を利用して、人が本来持っている治癒能力や組織修復能力、再生能力を引き出す治療です。
なんども繰り返す筋・腱・靭帯の痛みに対しPRPを投与することで、腱や周囲の筋肉の微小血管循環を改善することを示唆するという文献があります。
一般的に1週間〜6ヶ月で組織修復が起こり、治療後2週間〜3ヶ月までに効果の出現が期待できます。
PRP治療を行った後24週間後の経過観察で成功率は84.9%だったという報告があります。
26ml~55mlの血液を採取します。
遠心分離機の専用ボトルに採取した血液を装填します。
3200rpmで遠心分離を行います。
専用のチューブでPRPを抽出します。
超音波ガイド下に患部へPRPを注射で投与します。
治療は日帰りで終わります。
原則として麻酔は必要ありません。
治療当日は飲酒や入浴はお控えください。
APS治療とは、PRP抽出液による関節症治療の事を指し、変形性膝関節症に対して行われる治療法です。
変形性関節症の初期〜中期では関節内の炎症によって軟骨破壊が進んでいます。関節内では軟骨の破壊成分を作り出す悪いタンパク質(炎症性サイトカイン)が活発になっていて軟骨の破壊成分(MMP)の産生を促進しています。
自己タンパク質溶液(APS Autologous Protein Solution)療法とは自己血を遠心分離機にかけて良いタンパク質(抗炎症性サイトカイン)を高濃度で抽出して変形性膝関節の関節内に注入する方法です。
良いタンパク質は悪いタンパク質の働きをブロックして軟骨破壊に傾きがちな関節内のバランス改善に寄与します。
APS治療は、今現在炎症症状(痛み・腫れ・熱感)が強い方に効果的と言われ、レントゲン検査で変形の程度(KL分類)を確認し、5段階(グレード0〜4)のうちグレード2〜4の方が対象となります。
※服薬中でも治療は可能ですが、効果が薄れてしまう場合があります。
運動時の痛みがAPS治療後どのように変化したのかが下記の表となります。
変形性膝関節症の進行度はKL分類という分け方によって分類されます。数値は運動時に感じる痛みが最大10とした場合に現在の値を取っています。
比較的痛みが取れやすい結果となっています。
No. | KL分類 | 実施前 | 1週間後 | 4週間後 | 12週間後 |
---|---|---|---|---|---|
1 | Ⅱ | 10 | 5 | 2.7 | 1.5 |
2 | Ⅱ | 6.5 | 5 | 5.2 | 5.5 |
3 | Ⅲ | 9.3 | 9.2 | 7.7 | 5.8 |
4 | Ⅲ | 6.1 | 5.3 | 4.9 | 2.9 |
5 | Ⅲ | 7.3 | 7.3 | 2.4 | 0.7 |
6 | Ⅲ | 7.9 | 7.9 | 6.8 | 6 |
痛みが変わらない方や治療後も痛みが残存する方々もいるが、痛みがおさまる方もいます。
No. | KL分類 | 実施前 | 1週間後 | 4週間後 | 12週間後 |
---|---|---|---|---|---|
7 | Ⅳ | 9 | 0.7 | 0.6 | 0.2 |
8 | Ⅳ | 7.2 | 7.2 | 5.7 | 5.7 |
9 | Ⅳ | 5.6 | 7.4 | 3.4 | 2.7 |
10 | Ⅳ | 10 | 9.9 | 7.8 | 6.5 |
11 | Ⅳ | 8.7 | 5.4 | 5.5 | 5.8 |
12 | Ⅳ | 5.1 | 5.1 | 4.2 | 3.2 |
13 | Ⅳ | 6 | 3.6 | 1.9 | 0.6 |
14 | Ⅳ | 8.7 | 6.6 | 4.3 | 4 |
15 | Ⅳ | 5 | 5.5 | 4.1 | 2.6 |
16 | Ⅳ | 8.4 | 7.9 | 8.5 | 8.6 |
海外の治療報告ではAPSを1回注入後、約1年間効果が続くと報告されています。
その為12週間後以降に痛みが改善される可能性もあります。
当院で施術したAPS治療の施術実績は以下のとおりです。
PRP、APS療法のいずれも効果の確立された保険適応の治療ではありません。安全性を検証する治験で問題はなかったため、有効性を検証する治験と平行して、先進的な治療を患者さんに提供する制度を利用します。そのため、保険は使えず全額自己負担で行う治療となっています。
PRP治療(筋・腱・靭帯への投与) | 8万円(税別) |
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APS治療(膝関節への投与) | 30万円(税別) |
外来受診のご相談については、お電話(011-816-3200)で承ります。
PRP治療とAPS治療を希望される方は、始めに廣田院長の診察を受けていただきますが、その前に検査が必要となりますので、あらかじめお電話にてご予約願います。
院長の診察後、PRP治療とAPS治療が必要な方については別の日に予約を承ります。
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