前回の投稿でご紹介した仮眠、眠気の対処方法は実践してみたでしょうか?
今回は、睡眠と記憶について、アスリートの睡眠チェックについてご紹介します。
学生さんの中には、テスト前日に「一夜漬けをする」「徹夜をする」といった経験をされたことがあるのではないでしょうか?
睡眠を削って勉強をした者が結果を出せるという誤った認識はないでしょうか。
このような精神論は、さまざまな実験や統計によってすでに実証されています。
ある研究では、
夕方に学習して知識を習得したり、身体で覚える技能を学んだ後に、
睡眠をとるグループと睡眠をとらずにそのまま起きているグループに分け、翌日に記憶の定着度を見る実験をおこなったところ、睡眠をとるグループが確実に覚えていたとの実証もあります。
特に、
たとえ一夜漬けをするにしても、
近年、睡眠時に記憶が整理されていることもわかってきました。
勉強などで脳を活発に使えば使うほど、アミロイドβやタンパク質の老廃物が蓄積されます。
脳には、リンパ系が通っていないため、代わりに脳脊髄液によって老廃物を洗い流しています。
これは、睡眠中に活性化していることが判明しています。
起きているときにも老廃物の除去は行われていますが、眠っている時の方が、4〜10倍活発に行われています。
つまり、
睡眠が不足すると、脳での老廃物が処理されずアミロイドβなどの老廃物が沈着し、アルツハイマー病などの認知症や神経疾患のリスクが上がることもわかっています。
これは、高齢になっていきなり生じるものでもなく、若い時の睡眠不足によって老廃物の沈着が多ければ、それだけリスクが高まります。
アスリートが適切な睡眠の質と量を確保することは、
パフォーマンスアップや心身のリカバリーに重要な影響を与え、怪我のリスクを減らすと言われています。
部活動やチームとして、睡眠管理を戦略的に行なっているチームもあるかと思います。
睡眠不足には、意識的・無意識的な行動が影響します。
意識的な行動とは、「練習を夜遅くまで行った」「ミーティングを夜遅くまで行った」などで睡眠時間を減らすことになった場合をいいます。
無意識的な行動には、不眠症のように「寝ようとしてもうまく眠れない」ときに起こります。
このように、無意識的に睡眠をコントロールできない場合にはストレスや不安など心身的な問題が影響します。
特に、眠れない夜や過度なトレーニング後に現れます。
また、眠れないかもしれないと感じつつベッドに入ることも、不眠症の悪循環を招くことになります。
これらは、ライフスタイルや習慣を変えることで改善させることができます。
以下は、アスリート睡眠チェックです。
・寝る時間と起きる時間をいつも同じに設定する
・睡眠不足を補うために昼すぎに30分の昼寝をする
・夜の大食いは控える
・昼食後はカフェインを避ける
・アルコールを飲むのは避ける
・テレビやスマホ、パソコンなどの電子機器を消す
・寝る前にシャワーを浴びる
・睡眠のために自分の寝具を用意する
・騒音を減らす
・部屋を暗く、涼しく保つ
・ベッドが快適かを確かめる
・リラックスした姿勢のままでいる
・目的は睡眠ではなく、リラックスすること
睡眠に問題があると感じた場合は確認してみて下さい。
アスリートの睡眠を改善するための一助になれば幸いです。
ぜひ明日から試してみてください。
次回は、
デスクワークでの時間が多く腰痛に悩む方へ『5分で分かる腰痛改善法』
良い姿勢の話からストレッチの話まで分かりやすい内容になっています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
<参考文献>
・熟睡の習慣/西野清治
・高齢者の睡眠を守る/井上雄一
・SLEEP/ショーン・スティーブンソン
・リカバリーの科学スポーツパフォーマンス向上のための最新情報/Christophe Hausswirth
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